1 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:37:57 ID:2IK
 僕は彼女が好きだ。大好きだ。好きで好きでたまらない。
 これはいわゆる一目惚れというやつなんだろう。こんな気持ちは生まれて初めてだった。
 だから絶対に彼女を落としてみせると心に誓ったのだ。僕は絶対に彼女を落としてみせる。
 たとえどんな手を使おうとも。




2 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:38:18 ID:2IK
1.落とし穴
「というわけで昨日から落とし穴を掘っていたってわけさ。そして落とし穴の上にはかわいいテディベア。それを見た君は思わず駆け寄って落とし穴に落ちるって寸法だ」
「へえ、面白いことを考えましたね」
 彼女は釣竿を取り出すと、テディベアを釣り上げて持ち帰った。




3 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:40:02 ID:CHR
>>2
彼女に種明かししたら駄目やんw




4 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:40:13 ID:2IK
2.バナナの皮
「バナナの皮。それは魔性の力を秘めしもの。落ちていれば人はそれを踏まずにいられない。そして一度踏んだなら、すってんころりん転倒必至。階段の上にバナナの皮。階段を転げ落ちる君の姿が眼に浮かぶ」
「ベタすぎやしませんか?」
 彼女はバナナの皮を拾い上げると、ゴミ箱へ捨てて帰った。




5 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:41:54 ID:g0z
胴締めスリーパーが一番早い



6 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:42:08 ID:2IK
3.柔道
「落とすといっても様々な落とし方がある。例えば柔道などでは、相手の頸動脈を強く圧迫する、いわゆる絞め技によって相手を落とすことができるそうだ。つまり僕が今から柔道を習得すれば君を落とすことも容易なのではないだろうか」
「私は柔道初段に空手二段です」




7 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:43:21 ID:g0z
>>6
人のアイデアをパクるんじゃねえよ




8 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:43:22 ID:CHR
4コマで同じようなネタ読んだ気がする



9 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:44:09 ID:2IK
4.面接
「毎年何千何万という人が落ちるもの、それは試験。中でも面接というのは応募者を恣意的に落としやすい。というわけで面接をします」
「はい」
「まずはお名前と年齢を」
「失礼ながら、ひとに名を尋ねる時はまず名乗るのが礼儀ではないでしょうか」
「これはとんだご無礼を。私は面接官のササキと申します」
「なにか資格はお持ちですか」
「いえ」
「そうですか。では、今回はご縁がなかったということで」
「はい。ありがとうございました……あれ」




11 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:45:49 ID:BEu
20個も落ちる種類あるかなぁ



12 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:46:36 ID:2IK
5.バタートースト
「選択的重力の法則というのを知っているかい?
 マーフィーの法則の派生なんだが、最も知られている例は『バタートーストは必ずバターを塗った面から落ちる』というものだ。
 つまり、バタートーストを君の背中に括り付け君が仰向けで寝転べば、そこに反重力が発生し、一度飛び上がって落ちるに違いないというわけだ」
「背中がベタベタするのですが」
 半日経った。
 反重力は発生しなかった。




13 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:46:55 ID:BEu
原稿を落とす、試験に落ちる、影を落とす



14 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:48:03 ID:g0z
脳天逆さ落しとか岩石落しとかまだまだある



15 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:48:16 ID:2IK
6.テンプレート
「古今東西、女の子が空から落ちてくるというのはボーイミーツガールの定番だ」
「そうでしょうか」
「つまりテンプレート的な展開を用意してもう一度出会い直すことで、風が吹き桶屋が儲かり、結果として君は空から落ちてくるって寸法だ。
 というわけで君には食パンを咥えて遅刻しながら、雨に打たれる子猫に傘を差し、運命のライバルに襲撃を受ける中特殊能力に目覚めつつ、イケメン転校生の俺と交差点で衝突してもらう。
 完璧な作戦だろう」
「あなたはイケメンでも転校生でもありませんよ」




16 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:50:04 ID:2IK
7.絶叫アトラクション
「遊園地には様々なアトラクションがある。
 中でも目玉となるのはいわゆる絶叫アトラクションと呼ばれるものだ。
 定番なのはジェットコースターだが、最近では上から下へまっすぐ落ちるタイプのアトラクションも人気が高い。
 そういった落下系アトラクションに君を乗せれば、君は間違いなく落ちることになる。
 この方法こそ絶対に間違いのない方法だと僕は確信しているよ」
「それで遊園地にいるんですね」
「ただ一つ問題がある」
「なんですか?」
「僕は高所が苦手なんだ」
「奇遇ですね。私もです」
 僕らはメリーゴーランドに乗って帰った。




17 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:52:18 ID:2IK
8.ゲーム
「ネットゲームというのは時間を食う。
 一度ハマってしまえばずぶずぶと引きずり込まれ、そこから抜け出るのは容易ではないらしい。
 君は寝食も忘れ学業を疎かにすること間違いなしだ。
 そのうち君は『落ち』ぶれ、果ては『落』第していることだろう。
 ネットゲームは人を堕落させるのだ。
 というわけで僕と君のアカウントを作っておいた。一緒にどうだろう」
「面白そうですね」
 気がつけば僕の方がハマっていた。
 彼女は3日で飽きたそうだ。




18 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:54:14 ID:2IK
9.4コマ漫画
「4コマ漫画の王道はやはり起承転結だ。
 なにか出来事が起き、そこから予想される展開がそれに続き、それが一転し、最後にきれいな『オチ』がつく。
 定型化されながらも洗練された作品形式だ。すばらしい。実にすばらしい。
 それを学べば必ずや君を落とす方法を知ることができるに違いない」
「そんなことよりそろそろ続きがよみたいのですが」
「あ、すまない」




19 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:56:03 ID:2IK
10.温泉
「商店街の福引で温泉の割引券が当たった。一枚しかないから君にあげよう」
「わぁ。ありがとうございます」
「温泉というのは安らぎの場。身体を休め心を洗濯する。素晴らしい癒やしだ。
 火山だらけのこの日本で温泉のありがたみを知らぬものは、大いなる不幸者に違いない。
 君もゆっくり休んでくるといい。そして心と体を落ち着けるべきだ。そうすべきだ。
 『落ち』着ける……ああ、なんて素晴らしい響きだろう!」
「お母さんがこの温泉行きたがってたんですよ。きっと喜んでくれると思います」




20 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:58:06 ID:2IK
11.映画
「世の中に落ちる物は数あれど、映画ほど物が落ちるものもないだろう。
 隕石に小惑星、橋に飛行機にサメにスマホとなんでもござれだ。
 ラブロマンスで男と女は恋に落ち、大団円で落ちがつく。
 出来が悪ければ売上も落ちる」
「あ、そのサメが降ってくる映画面白いですよね」
「というわけで、今度の週末にでもどうだろう」
「死霊の盆踊りとか好きですよ」
「え? あー……」




21 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)20:59:15 ID:g0z
つるべ落とし、こけら落としがそろそろ出てきそう



22 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:00:18 ID:2IK
12.石
「石見畳ヶ浦という場所を知っているかい。
 そこには『落ちそうで落ちない石』という名物観光スポットがあってね。
 なかなか落ちないから受験生の験担ぎとして人気だったそうだ」
「へえ」
「しかしその石もとうとう落ちたらしい。
 ということは逆に何かを落とすことを祈願するには絶好のスポットなのではないだろうか。ぜひ行こう」
「時々思いますけど、変に行動派ですね」
「転石苔むさずだ。何事も行動あるべきだ」
「苔むした石も風情があると思いますよ」




23 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:02:14 ID:2IK
13.お年玉
「正月の定番といえばお年玉。無邪気な童どもは大人に媚びへつらい、年寄りから財をむしり取る。人の良い哀れな老人たちはなけなしの財産をガキどもに分け与える」
「なにか嫌な思い出でもあるんですか」
「しかし! しかしだ。これは日本の伝統ある風習であり、ないがしろにすべきものではない。『おとし』玉、なんていうからには黙ってはいられない。というわけで君にお年玉をあげよう」
「わーい……ってなんですかこれ」
「落し紙。つまりトイレットペーパーだ」
「うわぁ……うわぁ」




24 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:04:45 ID:2IK
14.手料理
「今日うちに来てもらったのは他でもない。君に手料理を振る舞うためだ。
 僕が腕によりをかけ作った至高の逸品を口にした君は、思わず頬を落とし顎を落とすに違いない」
「何を食べさせてくれるのですか?」
「それはもちろん落とし卵」
「……まぁ、おいしいですけど、うーん」




25 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:06:40 ID:2IK
15.落とし物
「交番へ行こう」
「今度は何をやらかしたんですか」
「失礼な。僕に前科はない。交番と言えば落とし物の聖地。
 僕が君を落とし物として交番に届ける。すると君は落とし物となる。
 つまり僕が落としたことになる」
「はぁ……何言ってるのかわからないですが、面白そうなんで付き合いますよ」
 おまわりさんは困惑していた。
 近所の心療内科を紹介された。




26 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:08:28 ID:2IK
16.UFOキャッチャー
「UFOキャッチャーを知っているか?」
「名前だけは」
「UFOキャッチャーというのは悪魔の機械だ。
 これ見よがしに並べられた豪華景品で遊び人を虜にし、絶対にその景品を吐き出すことはない。
 人々から金銭を巻き上げる鬼畜の機械。しかしアームで掴んだ景品は穴に入ろうと入るまいと必ず落ちるもの。
 つまり君が景品となれば必然君は落ちざるを得ない」
「はぁ、それで私はこんなケースの中に入れられているわけですか」
「なぜ持ち上がらないんだ……!」
「予想はできてましたけど、なんだかひどく不愉快です」




27 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:10:19 ID:2IK
17.落ち武者
「ここは関ヶ原。天下分け目の合戦が行われた歴史的な原っぱだ。幾千もの兵どもが夢の跡なのである」
「なんだかとても頭が悪そうな紹介ですね」
「君に落ち武者の衣装を用意した。これを着れば君は落ち武者。つまり落ちている」
「なんだか適当になってきてません?」
「まあとにかく着てみてくれたまえ」
「はぁ」
「どうだ? 落ちてるか?」
「うーん、たぶんですけど、落ちてないんじゃないですかね」




28 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:11:47 ID:BEu
最後は
「こんなことをしなくても私はあなたが好きですよ」とオチがつくのかしら




29 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:12:19 ID:2IK
19.袖
「押してだめなら引いてみろという。
 今日はいつもと真逆のアプローチを考えてみた。
 例えば君が僕に告白をするとするだろう。それを僕が断る。
 すると君は落胆する、つまり落ち込む……そう!君を落とせるに違いない!」
「理に勝って非に落ちてはいませんか?」
「というわけで告白してみてくれ」
「そこはかとなく好きです」
「ごめん」
「そうですか」
 彼女は動じなかった。
 僕の方が落ち込んだ。




30 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:14:09 ID:2IK
20.告白
「最終手段を使おうと思う」
「はい」
「僕はもう他に方法を知らない」
「はい」
「本当に最後の最後だ」
「はい」
「僕は君が好きだ」
「そうですか」
「……え?」
「?」
「え、いや、そうですかって……」
「なんですか?」
「……いえ、なんでもありません」
 みごとに撃墜。
 こんな落ちなんてそりゃないだろう。




31 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:16:07 ID:2IK
21.彼を落とす1つの方法
「ところであなたはなぜ月が落ちないか知っていますか?」
「月?」
「地球の重力と月の慣性力が釣り合っているから、ぐるぐると回るのです。つまり、ある意味では月はずっと落ち続けているとも言えるわけです」
「えっと……なるほど?」
「もし地球の重力がもっともっと強くなれば、いつか月も周回軌道を逸れて、地球に惹かれるときが来るかもしれません」
「……それはつまり」
「まずはお友達から、ということでどうでしょう。ひとまずの落とし所として」
 僕の方がとっくに落ちていたみたいだ。
 僕らはこれからも互いに互いへ落ち続ける。
 ぐるぐると。
 ぐるぐると。




32 :名無しさん@おーぷん 19/06/30(日)21:16:44 ID:2IK
終わりです
ありがとうございました

たまになんか書いたりしてます
http://dustybook.webcrow.jp/




33 :名無しさん@おーぷん 19/07/01(月)03:39:31 ID:l8F
陰キャがニヤニヤしながら書いてそう
わりと嫌いじゃないが





引用元
彼女を落とす20の方法